虹橋の先へ
「そう言えば、髪いつ染めたの?」
城で会った時と違い、毛先が赤く染められている。
でもそれもかなり前のことだから、それほど深い意味はなかったのだが。
虚を衝かれたのか、いきなりジンが挙動不審になる。
「そ、それは……子育ても一段落したし、その」
「………ふーん?」
何だか、裏がありそうだ。
無理に聞くつもりはないが、にやにやしているのを見るとジェイダは知っているのだろう。
(親友……姉妹みたい?どっちにしても羨ましいな)
「ジンはね、兄さんの好きな赤色。……辛さを和らげて解かしてくれた、かけがえのない人なの」
「ぶっ……!!」
飲んでいたお茶を、ジンが盛大に吹き出す。
足元でくすっと笑い声が聞こえたが、気のせいだろう。
床に座っているのは、お人形遊びをしているビーだけだ。
「捏造しないの!!」
「してないよ。兄さんが、実際に言ってたんだってば。酔っぱらって私に漏らすくらい、嬉しかったんじゃないかな」
赤色と言えば、昨日市場で見かけたあの花だが……何となく、自分が触れてはいけない気がする。
「もう。ジェイダが漏らしたって、告げ口するわよ」
「いいよ。言ったら、兄さんがどんな反応してたか教えてね」
にこにこして返すジェイダに、ジンが恨みがましく言った。
「……貴女、ロイ様に似てきたんじゃないの」