虹橋の先へ

「オーリー」



呼ばれて顔を上げてから気づく。
いつの間に俯いたのだろう。



「じっとしているのも退屈でしょう?もしよければ、手伝ってほしいな」

「も、もちろんです!その、ご迷惑でなければ」



手持ちぶさたが、余計な考えを生んでいるだけ。
城と違い、ここにはジェイダもジンも、可愛いビーだっている。
分かってはいても、だからこそ痛感するのだ。


本当は一人ぼっち。


おかしなことに、人に囲まれていると孤独感は何倍にも膨れてしまう。



「大丈夫。最初は大変かもしれないけど、オーリーならきっとできるわ」



穏やかだから、それが心からの優しさだから。だから――。


(……私、変だわ。こんなの、すごくいやだ)



恐らく二度手間になってしまうのに、それでも何かを手伝わせてくれようとする善意に、ズキッと胸が痛むなんて。



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