九條くんの15分
第1話
九条くんと帰り道
学校までの通学時間。
なぜか、前を歩く人の気だるそうな後ろ姿に目を奪われて、不意に見えた横顔に心臓を鷲掴みにされたのが2か月前のこと。
私が入学して間もない5月の話。
スっと通った鼻筋、長いまつ毛に、くっきりと綺麗な二重ライン。
落ち着いた茶髪にゆるくウェット感のあるパーマヘア、綺麗な白い肌に、目尻の泣きぼくろ。
純粋に、綺麗な人だなって思った。
それから毎朝、同じ時間に見かけるようになって──。
ある日、家から出てくる彼を見かけ、私の家の4軒となり……という、ものすごくご近所に住んでいることを知ってしまった。
それから、私の癒しの通学時間15分が始まった。