劣情にmistake
◇
「で、なんで当たり前のようについてくるの?」
「昨日は途中で帰ったから」
「理由になってないよー……」
「別に、知りたくなったから」
死神といえど、わたしのことをなんでも知ってるわけじゃないのか。
この辺りで一番大きな高層マンションのオートロックを抜けて家に入る。
夏川くんが当たり前のように着いてくることは、もう私が何を言っても決定事項みたい。
「広い家住んでんね」
「よく言われる」
「他に誰か呼んだりするわけ」
「そりゃたまに、友達とか来たりするよ」
「へえ、友達いたんだ」
「……失礼」
いるよ。フツウにいる。だってごくフツウのジョシコウセイなんだもん。
「本当にここで暮らしてんの」
「毎日暮らしてるけど」
「にしては綺麗だな」
「生活感がないって?」
「うん、そう」
「わたししかいないからね」
へえ、と興味なさそうな返事が返ってくる。
死ぬはずだった命が、ほんとうはいつもひとりぼっちだってこと、知ってもなんとも思わないのかな。
「で、なんで当たり前のようについてくるの?」
「昨日は途中で帰ったから」
「理由になってないよー……」
「別に、知りたくなったから」
死神といえど、わたしのことをなんでも知ってるわけじゃないのか。
この辺りで一番大きな高層マンションのオートロックを抜けて家に入る。
夏川くんが当たり前のように着いてくることは、もう私が何を言っても決定事項みたい。
「広い家住んでんね」
「よく言われる」
「他に誰か呼んだりするわけ」
「そりゃたまに、友達とか来たりするよ」
「へえ、友達いたんだ」
「……失礼」
いるよ。フツウにいる。だってごくフツウのジョシコウセイなんだもん。
「本当にここで暮らしてんの」
「毎日暮らしてるけど」
「にしては綺麗だな」
「生活感がないって?」
「うん、そう」
「わたししかいないからね」
へえ、と興味なさそうな返事が返ってくる。
死ぬはずだった命が、ほんとうはいつもひとりぼっちだってこと、知ってもなんとも思わないのかな。