劣情にmistake
◇
◆
『……りりちゃん、俺は太陽が苦手だから、明日の18時半、屋上に迎えに行く。おまえの最期は俺がしっかり管理してやるから逃げるなよ』
その言葉の通り、18時半、わたしは学校の屋上にいた。
あと少しであのトラック衝突事故と同じ時刻になる。
日付はずれたけれど、時間帯だけでも合わせるのかな。そのへんのルールはよくわかんない。
夏川くんは死を管理するなんて言うけれど、わたしの死因って何になるんだろう。
屋上ってことは、飛び降り自殺かな?
痛いのは嫌だけど仕方ないよね。日本ではまだ安楽死が制度化されていないんだし。
自分の死因について考えるなんてどうかしてるのかも。
でもやり残したことももうないもん。夏川くんにキスされたのは少し不本意だけど、全然嫌じゃなかったし。
「りりこ」
声の方へ振り替える。夕日に当たらないように、やっぱり日陰に佇む夏川くんの姿があった。
「夏川くん、約束通り来たよ」
「最後の最後には逃げ出すこと期待してたけど」
「わたしのこと見くびりすぎだよー。決めたことはやり通すの!」
「ま、そーいうとことも嫌いじゃないけどね」
セーラー服がなびく。瞬間、急に空気が冷たくなったような気がした。
いちばんはじめ、夏川くんと出会ったときと同じ空気。
そっか、あの時感じた恐怖は、夏川くんが死神としての空気感を纏っていたからなんだ。
この冷たさにぞっとして、思わず身震いする。
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『……りりちゃん、俺は太陽が苦手だから、明日の18時半、屋上に迎えに行く。おまえの最期は俺がしっかり管理してやるから逃げるなよ』
その言葉の通り、18時半、わたしは学校の屋上にいた。
あと少しであのトラック衝突事故と同じ時刻になる。
日付はずれたけれど、時間帯だけでも合わせるのかな。そのへんのルールはよくわかんない。
夏川くんは死を管理するなんて言うけれど、わたしの死因って何になるんだろう。
屋上ってことは、飛び降り自殺かな?
痛いのは嫌だけど仕方ないよね。日本ではまだ安楽死が制度化されていないんだし。
自分の死因について考えるなんてどうかしてるのかも。
でもやり残したことももうないもん。夏川くんにキスされたのは少し不本意だけど、全然嫌じゃなかったし。
「りりこ」
声の方へ振り替える。夕日に当たらないように、やっぱり日陰に佇む夏川くんの姿があった。
「夏川くん、約束通り来たよ」
「最後の最後には逃げ出すこと期待してたけど」
「わたしのこと見くびりすぎだよー。決めたことはやり通すの!」
「ま、そーいうとことも嫌いじゃないけどね」
セーラー服がなびく。瞬間、急に空気が冷たくなったような気がした。
いちばんはじめ、夏川くんと出会ったときと同じ空気。
そっか、あの時感じた恐怖は、夏川くんが死神としての空気感を纏っていたからなんだ。
この冷たさにぞっとして、思わず身震いする。