あなたは一体誰?
「美里今日は朝食はいらない」
その声に後ろを振り返れば孝明がネクタイを締めながらジャケットを羽織った。
「え? 昨日は食べるって……」
「朝から会議が入った」
「じゃあサンドイッチだからすぐに……」
「いらないと言ったのが聞こえなかったか?」
「……すみません」
「夜もいらない、研究室に泊まって帰宅は明日になる」
私は先月、うっかり見てしまった孝明のクレジットの明細が頭に過ったが黙って頷いた。どうせ聞いたところで国立大卒のエリートで理屈っぽい孝明に論破されるのが目に見えているから。
「いってらっしゃい」
「……」
孝明はそのまま私を見ることなく玄関の扉を開けて出て行った。
閉じられた玄関と同時にダイニングテーブルのスマホが震える。
「あれ? これ孝明さんの……」
私は一瞬玄関扉を見てから、スマホをさっと手に取るとLINEのポップアップ通知を確認する。
──『駅前のベーグルちゃんと買っといたからね』
送り主は『リコ』。
その可愛らしい名前から、孝明のクレジット明細に記されていたホテルの名前が脳裏に浮かぶ。
(やっぱりね)
──ガチャ!
「おい、何してる?!」
その声に後ろを振り返れば孝明がネクタイを締めながらジャケットを羽織った。
「え? 昨日は食べるって……」
「朝から会議が入った」
「じゃあサンドイッチだからすぐに……」
「いらないと言ったのが聞こえなかったか?」
「……すみません」
「夜もいらない、研究室に泊まって帰宅は明日になる」
私は先月、うっかり見てしまった孝明のクレジットの明細が頭に過ったが黙って頷いた。どうせ聞いたところで国立大卒のエリートで理屈っぽい孝明に論破されるのが目に見えているから。
「いってらっしゃい」
「……」
孝明はそのまま私を見ることなく玄関の扉を開けて出て行った。
閉じられた玄関と同時にダイニングテーブルのスマホが震える。
「あれ? これ孝明さんの……」
私は一瞬玄関扉を見てから、スマホをさっと手に取るとLINEのポップアップ通知を確認する。
──『駅前のベーグルちゃんと買っといたからね』
送り主は『リコ』。
その可愛らしい名前から、孝明のクレジット明細に記されていたホテルの名前が脳裏に浮かぶ。
(やっぱりね)
──ガチャ!
「おい、何してる?!」