エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
「私、眠ってました?」
「ん。一時間程度だが」
「見てました?」
「可愛くて。すやすや眠るから」
 寝顔をじっくり見られていたなんて恥ずかしすぎる。

「無理させてしまったかもしれない。身体は大丈夫か?」
 ゆっくり身体を起こそうとすると、少し重だるいような感じがある。
「少しだるいけれど、眠れば大丈夫です」
 本当を言えばここでこのまま眠ってしまいたい。

「ここで寝れたらいいんですけど……」
「寝ていけばいいだろう。フライトは明日なんだろう?」
「そうなんですけど、外泊は基本的に禁止なんです」
「それもそうか……」

 離れるのも惜しいし、温かく心地よい五十里の腕の中は本当に魅力的ではあるのだが、ルールはルールだ。
「じゃあ、シャワーを浴びてくるか? 送っていこう」
「はい」
 五十里はシャワーも一緒に浴びようと言ったのだが、さすがにそれは遠慮させてもらって交代でシャワーを浴び、二人で夜のシカゴの街を手を繋いで歩いた。

 日本ではない場所でこんな風に恋人と手を繋いで街の中を歩いているなんて、なんか不思議な感じだ。
< 110 / 131 >

この作品をシェア

pagetop