エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
 夜であることも相まって、まるで夢の中のことのようだった。
「夢の中みたい」
「現実だ。忘れるなよ?」
 つないだ莉桜の手を五十里は口元に持っていく。手の甲にキスをした。

「今度はステイじゃなくて、莉桜が翌日オフの時の方がいいな。朝まで一緒に莉桜といたい。そうしたら現実だと認めてくれるのかもしれないな」
「一緒に旅行とか行きたいです」
「行こう。どんなことも叶えてやる」

 莉桜はじっと五十里を見た。
「なんだ?」
 ふわりと莉桜は笑う。
「武尊さんって私にとっても甘いですね!」
「まずいか?」

 五十里は今までのことと自分の溺愛体質のことを思い出していた。もしかしてまたやりすぎていたかもしれない。
「ううん! とっても幸せです!」

 そんな五十里の不安は恋人の花が咲いたような笑顔が吹き飛ばしてくれたのだった。
 
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