エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない

10.

 羽丘国際空港では国産最新機種の飛行機の初就航を祝うイベントが開催されていた。
 五十里重工から納入された飛行機はそのスタイリッシュな機体に太陽の光をキラキラと反射させながら、駐機場に止まっている。

 イベントは搭乗ゲート前で行われていた。JSAの社長初め、五十里重工の関係者などが参加している。
 その関係者の中には五十里武尊の姿もあった。端正な顔立ちとスラリとした肢体は注目を集めていたのだ。

「あれ、誰? ゲストの役者さんとかじゃないよね?」
「すっごくカッコいい……」
 一般客のそんな声を莉桜は近くで制服姿で耳にしていた。
 五十里のことだと分かって、自分が褒められているようななんだかくすぐったい気持ちだ。

 制服姿の莉桜に気づいて、五十里が軽く微笑む。莉桜の周りからはきゃーっと黄色い声が上がった。
「見た見た!? こっち見て笑ったわ!」
「笑顔、むっちゃいい! 花つけてるからゲストなんだろうけど、何者なのかしら?」

 イベントはそれぞれの社長による安全な航行や乗客、乗務員の幸せを願うスピーチののち、関係者によるテープカットが行われた。
 その後初就航のプラチナチケットを手にした人が機内に案内される。
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