エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない

エピローグ

「迎えが来ているはずなんだが……」
 到着ゲートを二人でスーツケースを引いて出ると『五十里様』と書いたタブレットを掲げている男性がいた。
 その男性に五十里は片手を挙げて近寄る。
『ミスター五十里! お待ちしておりました』
 とても丁寧な物腰の男性は、五十里と莉桜の二人分の荷物を預かり、空港を出る。

『今日はとても良い天気なので海が綺麗ですよ』
 にこやかに男性から言われて莉桜も笑顔を返す。
『それは嬉しいです』
 空港からそれぞれのリゾート島には一般的には船や離れた島なら水上飛行機などで移動することとなる。

 空港を出ると普通なら道路があるのだろうが、モルディブの場合、出てすぐが港ということに莉桜は驚いてしまった。
 天気の良い海は案内の男性の言う通り、まさに写真ででも見るかような青のグラデーションを見せており、キラキラと輝く水面も美しい。莉桜は満面の笑顔で五十里を振り返った。

「武尊さん! 海が本当に綺麗ね」
「砂が白いと海は綺麗に見えるらしいが、この青は本当に見事だな」
 五十里も感心したように海に見とれている。
 その間、男性は莉桜と五十里の荷物をスピードボートに乗せていた。
『お乗り下さい。ではリゾート島までご案内いたします。こちらのボートで十五分ほどです』
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