エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
　パイロットの制服も機体もみんなこのカラーで揃えられている。最後に濃紺とブルーと白のトリコカラーのスカーフを里桜はきゅっと締めた。
　この瞬間がいちばん気が引き締まる。スタイルも良くて大好きな制服だ。

　キャスターバッグを引いて、莉桜は運航乗務部に向かう。そこにあるミーティングスペースで乗務前のブリーフィング、つまり打ち合わせが行われるのだ。
　運航乗務部の入口にある冷蔵庫の前でクルーミールと呼ばれている機内での食事を選ぶ。
　今日のクルーは魚好きが多いようで肉の食事が多く余っているようだったので里桜は肉のクルーミールを手にして、クルーバッグの中に入れた。
　どちらを選んでもいいとは言われているが割と社歴の浅い莉桜はそれとなく余っているものを手にするようにしていた。それにどちらを選択してもＪＳＡの機内食は美味しいことで有名だ。

　国内大手エアラインであるＪＳＡはクルーの人数も多い。そのため、乗務する際はほとんどのクルーが初めましてという状況になる。莉桜は笑顔でミーティングスペースに向かった。


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