エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
 戸惑う莉桜に向かって五十里は口を開いた。
「まず惹かれたのは笑顔かな。知ってるか? 君は笑うと口角のところにきゅっとえくぼができて、ものすごく可愛い。それから声もだ。耳に聞き心地がいい。交友関係に声というのは意外と重要なファクターらしいぞ。声が聞き心地悪い相手とは気が合わないらしい。あと、君は目を離せない。その辺にいるだけで誰かれ構わず魅了するのは本当に良くない」

 口を塞ぎたい。
 それに最後のは褒められているのか貶されているのかも分からない。
「あの……すみません。もういいです」
 それに誰かれ構わず魅了するなんて、絶対五十里の気のせいだ。
「分かったか?」
 さっきまで澄ました顔で視察なんかしていたくせに、五十里は莉桜にいたずらっぽい表情を向ける。自分だってそんな表情はとても魅力的なのに。
 こんなに素敵な人が私を? と思うと莉桜は頭の中が混乱しそうだ。
 けれど熱を含んだ表情で真っすぐに莉桜を見つめる五十里の目から逃れることはできなさそうだった。

「本気……ですか?」
「本気だよ」
 一層表情が甘くなって、するりと莉桜の頬を五十里の指先が撫でる。
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