エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
「はい。よろしくお願いいたします」
 こんな風に知り合いの知り合い、みたいな感じで人脈が広がっていくのがクルーだ。

 ブリーフィングの時は特に席が決まっていない。顔見知りなこともあり何となく莉桜は大島の隣に座る。大島は莉桜に向かってにこりと笑った。
「今日はビジネスクラス担当だったわよね?」
「はい。初めてで緊張しています」
 先日の研修はビジネスクラス担当の際の対応のための研修であり、その研修の時に講師だった大島が同乗というのは非常に心強くもあり、緊張もする。

 JSAではサービスに関しては最初にエコノミークラスから担当することになっている。
 社歴を重ねるごとに研修をして順次ビジネスクラス、ファーストクラスのサービスができるようになるのだ。

 そのためには搭乗時間を重ねることはもちろん、周りからの評価や自分自身のステップアップを経て社内の資格を保有することが必要になる。
 だから、社歴を重ねたベテランというだけでファーストクラスが担当できるわけでもないので、いつかファーストクラス担当をしたいというのは憧れでもある。

 莉桜は先日ビジネスクラス担当の資格を取得し、研修を終えたところなのだ。
「教えていただいたことをしっかり発揮できるように頑張ります」
「分からないことは何でも聞いてね」
「よろしくお願いいたします」
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