エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
「ギャレーの中にカートを収納しておく場所があるんですけど、ものが載っているとカートを収納できないんですよ。揺れているときは安全のためにカートを収納しないといけませんからダッシュでドリンクとかしまうんです」
「収納した瞬間揺れがおさまりそうだな」
 揺れだしたのでカートをしまう。しまった瞬間揺れが収まるのは不思議なことだが、本当にあるあるなのだ。

「そうなんです……。そういうものですよね。そうしたらまたわーって出すんです」
「大変だな」
「何度も繰り返したあげくサービス中止になるなんてこともあります。なにか分からないけどものすごく疲れます」
「今回はそういうこともなかったわけだな」
「はい! サービスもできましたし、無事に到着できました」
「それはよかった」
 五十里が話を聞いてくれるのでつい話しすぎてしまった莉緒だ。

(ちょっと話し過ぎてしまったかしら?)
「五十里さんは?」
 莉桜は運転席の五十里に向かって首を傾げる。五十里も口を開く。
「仕事漬けだったよ。今は新機種の納品前だから社内もピリピリしている。今回は組み立ては海外の工場でしているから進捗確認も細かくしなくてはいけないし。けど機体は仕上がっているからあとは内装だけだな」
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