エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
 専用カードキーがないとフロアに足を踏み入れることはできず、先程のカードがその専用カードキーなのだとさすがに莉緒も察することができた。
 一度行ってみたいと思ってはいたが、気軽に入れるものではない。

「クラブフロア……ですね」
「そう。落ち着くからな」
 確かにロビーなどは人も多くザワついた雰囲気だ。ソシアルグランドホテルの落ち着いた雰囲気を堪能するにはやはりクラブフロアが適切なのかもしれない。
 最高級のサービスが受けられるとあって、莉緒もわくわくと胸が高鳴ってきたのだった。

 初めて足を踏み入れるクラブフロアはシックな内装で黒地にベージュの模様の入った毛足が長い絨毯や、壁際にさりげなく置いてあるクリスタル製のインテリアがシャンデリアの光を返し、キラキラと煌びやかで高級感のある雰囲気を醸し出している。
 五十里が落ち着くといった意味も十分に理解できた。
 ラウンジからは高層階ならではの輝く夜景が広がっているのが見えた。窓際の席に案内され、メニューを手渡される。

 金額などは入っていないから、お客様をおもてなしする際にも招待するときに気兼ねなくご案内できるのだろう。
 白いシャツと黒のサロンエプロンを見にまとったギャルソンが丁寧に席まで案内してくれる。
「アラカルトでもいいが、コースの方が気兼ねなく食べられるだろう。コースにしよう」
「はい」
< 59 / 131 >

この作品をシェア

pagetop