エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
　そんな挨拶を交わしていると淡いブルーの制服に身を包んだチーフパーサーがにこやかにミーティングスペースにやってくる。ＪＳＡではチーフパーサーは他の客室乗務員とは制服が違う。
　チーフパーサーとは、キャビン全体を統括する責任者のことだ。客室全体の責任者としてサービス面だけではなく安全面でもフライトを統括することとなるので、視野が広くなければ務まらない。

　航空会社により異なるが、チーフパーサーになるまでの道のりは長くさまざまなステップを乗り越えなければその立場になることはできない。
　国内線・国際線の乗務経験の他、国際線でのファーストクラス経験や中堅CAとしての役職経験、そしてパーサー資格の取得だ。
　そんなチーフパーサーは客室乗務員たちの憧れの的でもあった。

「お疲れさまです」
　澄んだ声にみんなが反応した。
「お疲れさまです！」
　チーフパーサーはテーブルを見回す。
「揃っているようですね。それでは、ブリーフィングを始めましょうか」

　ブリーフィングは安全に関することや、お手伝いが必要なお客様へのサービスについて、またお子様をお連れのお客様の情報の共有などをする。
　客室乗務員は保安要員でもあるので、安全に関しては分かっていることでも改めて共有して意識を常に保つことが大事なのだ。
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