エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
 こちらでも窓際のソファ席を案内された。二人がけのソファはボックス型となっていて、周りからは目を隠すような構造になっていた。
 ゆっくりと二人だけの世界を楽しめるような配慮なのだろう。

「目がキラキラだな」
「だって、本当に最高のサービスです。まるでお姫様にでもなったみたい。やっぱり最高のサービスは人を癒すんですねぇ。私もそう在りたいです」
「本当に勉強熱心だな。何を飲む?」
 とても雰囲気のよいバーだ。

「やはりカクテルでしょうか」
「そうだな。ここのバーテンダーはなかなか腕がいいはずだぞ」
 そう聞いて、莉緒はわくわくしてしまった。そんな横顔を見られていたらしく、一緒に熱心にメニューを見ていたらふわりと頬を指の背で撫でられた。
「な、なんです?」
「にこにこして、楽しそうで嬉しそうで、しかも仕事には真面目だし。最高の彼女だと思っていたところだ」

 莉緒は五十里に向き直る。
「とても素敵なお顔立ちで、優しくてこんなところに連れてきて下さって甘々な彼氏も最高です」
「たまらない。愛おしい。今すぐでも欲しいくらいだ」
「今すぐはダメです。バーを堪能してからです!」
 五十里は手にあごをのせて、緩く笑う。
「バーを堪能したらそのあとはもらっていいの?」
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