エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
　次に彼女と会ったのは、シカゴ現地のホテルロビーだった。

　チェックインをして出かけるためにロビーへ降りたところ、日本人らしき女性が現地の男性に絡まれていたのだ。気があるようなら放っておくが、明らかに嫌がっているのに言葉が分からないふりをして男性が女性の腕を強引に掴んでいるのを見て、さすがに割って入ることにした。

　日本人女性は可愛らしく綺麗なので、好んで声をかけるローカルも多いのだ。
　声をかけようとして直前であの客室乗務員だと気づいた。髪を降ろしていたから一瞬分からなかったのだ。
『彼女は俺の恋人だ。触れるのはやめてくれ』
　英語でハッキリと分かるように発音する。彼女の腕を取り、自分の方へ引き寄せた。五十里を縋るように見てきた彼女は怯えて青ざめていて、絶対に守ると五十里は一瞬にして誓っていた。

　男性は五十里の姿を見ると、罵声を浴びせてその場を去る。
　ふう……とため息をつき、そっと彼女の腕を離す。
「大丈夫か？」
　怯えて、まだ少し顔色が悪いのを見ると本当に許せない気持ちになる。
「ありがとうございました。とても怖かったので、助かりました」
　それでも丁寧に頭を下げる姿は礼儀正しくて微笑ましく、真っすぐに五十里を見上げてくるのが好ましい。
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