エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
 莉桜はメッセージにアプリへ返信する。この時間なら、五十里は仕事だろうからメッセージを残しておくくらいでちょうどいいだろう。

 きっと気づいたら見てくれるはずだ。
『無事に到着しました。私も会いたいです』
 会いたいと素直に告げるのはくすぐったいような気持ちだったが、幸せでもあった。

 店のスタッフにテイクアウトの料理を手渡されてお金を払い、莉桜はホテルの部屋に向かう。
 部屋に着くと、スマートフォンが通話の着信を知らせる。慌てて確認すると五十里からの着信だった。

「五十里さん!?」
『ああ、莉桜。返信があったからメッセージを確認したんだと思って』
 五十里の声に少し呼吸音が混じっていた。カツカツという靴の音も聞こえる。

(歩いてる?)
 背後から聞き慣れた音が聞こえた。それは空港のアナウンスだ。五十里は空港にいるようだった。
「え? もしかして今空港ですか?」
『そうだ。明日はステイだろう。昼辺りにホテルのロビーで待ち合わせしよう。俺のホテルは後でメッセージを送る』

「あ、明日? 私、シカゴですよ?」
 驚いて返すと笑いを含んだ声が聞こえる。
『そう。俺もシカゴだ。明日はオフにしてあるから、現地でデートしよう』
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