エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
「うそ!」
 素っ頓狂な声が出てしまった。ホテルの部屋で誰にも聞かれていなくてよかった。
『ははっ! その驚いた声が聞きたかった。また、明日な』
 嬉しそうな笑い声が受話器の向こうから聞こえて通話は切れた。

 搭乗の間近だったのか、通話の切れてしまったスマートフォンを見ながら、莉桜は頬が赤くなっているのを自覚していた。
(え? 本当に? シカゴでデート?)
 詳しい話は聞けなかったけれどデートなのは間違いなく、五十里も空港にいて飛行機でこちらに向かうところなのだろう。

(もう、本当に驚いたよ!)
 けれど大好きな五十里からのサプライズなのだ。嬉しくないわけがない。
 クラブフロアに連れて行ってくれたり、突然シカゴで会おうと言ったり、五十里の行動はいつもびっくり箱のようだ。

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