エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない

8.

「ふぁぁ……」
 ベッドの上で莉桜は大きく伸びをする。ベッドから降りた莉桜はてくてくっと窓際に向かって歩き、しゃっと音をさせて大きくカーテンを開いた。
 外は突き抜けるようなアメリカらしい青空だ。せっかくのデートの日なので晴天なのはとても嬉しい。

 五十里との待ち合わせはお昼なので、昨日テイクアウトしたのとは別のカフェで朝ごはんを食べることにする。
 ホテルから歩いて五分くらいのところに素敵なカフェがあると以前他のクルーに聞いており、行ってみたいと思っていたその店へ行くことにしたのだ。

 教えてもらったカフェはウッディなインテリアの落ち着いた雰囲気で、レジ横に置かれているパンがとても美味しそうな店だった。
 莉桜はカフェラテとアーモンドクロワッサンを選び、席でゆっくりと頂く。

 街並みはいかにも海外らしく、オープンテラスでモーニングしていてもとても気分がよかった。
 席でくつろぎながらスマートフォンの画面を開いた莉桜は五十里のホテルを確認する。

 五十里が宿泊しているのは街の中心街にある五つ星のホテルだった。
 シカゴには世界最大の航空機器開発製造会社がある。五十里はおそらく五十里重工の役員としてその会社との打ち合わせに出向いているのだろう。
< 86 / 131 >

この作品をシェア

pagetop