エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
(すごい人なのよね)
 名前からして当然の如く御曹司なのだ。一緒にいて五十里が連れて行ってくれる場所は、莉桜ではとても行けないような会員制のクラブラウンジや予約の取れないレストランなどだった。
 立場も地位も全く違う人なのに、いつも莉桜のことを気にかけてくれて大事にしてくれる。

(優しい人なんだよなぁ)
 そう思うととても会いたくなってきてしまった。
 莉桜はカフェでゆっくりして、次のフライトの予習や今勉強中のソムリエ資格の資料を読み直す。
 そして、腕時計を見た。

 時間的には五十里がシカゴの空港からホテルに到着する頃合いだろう。
 勉強に使っていたタブレットや手帳をしまって、莉桜は徒歩ですぐのホテルの部屋へ置きにいった。

 五十里の宿泊するホテルへ行ってしまうことにしたのだ。到着した五十里を捕まえられれば早く会うことができるし、捕まえられなくてもそのホテルにはラウンジがあるので、そこで待てばいい。
(うん! そうしよう!)

 莉桜の宿泊するホテルから五十里のホテルまでは歩いて二十分ほどなので、莉桜は歩くことにした。
 ステイ先で観光に行く時はかなりの距離歩くことも多いので、それくらいは気にならない。
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