エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
「五十里さん!」
 人前でキスなんてされたことはなくて、恥ずかしくて真っ赤になった莉桜は五十里を叱る。
「俺がサプライズでシカゴに来たのに、莉桜がお返しのように登場するからだ。本当にこんなものでは済ませたくないくらい愛おしいよ、むしろ、ここでやめた俺を褒めてほしいね」
「全くもう……」

 怒ってもそんな風に言われてしまっては許すしかないではないか。
「こんなことできるのは海外だからということにして許してくれ。たくさん待ったか?」
「いいえ、少しだけ。朝はモーニングしてホテル近くのカフェで勉強してたんです」

「勉強は進んだ?」
「少しだけですけど」
 偉いな、というようににこにこしながら頭を撫でられた。
「じゃあ、後は気にしないでデートできるか?」
「はい!」

「よし。今からチェックインしてくる」
 五十里はそう言って、莉桜を見る。
「部屋の中を見るか?」
「え? いいんですか?」
「好奇心丸出しの顔をしていたぞ」
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