エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
『こんなところで会えるなんて嬉しい! ねぇ? 私今からアイコビック社の方たちと飲むのよ。タケルも一緒にどうかしら? 有意義な話を聞けると思うわ』

 とても早口な英語だ。わざと莉桜には分からないようにして話しているのがありありと分かった。
 莉桜は内心穏やかではなかったものの、客室乗務員としての経験を駆使してにこにこと笑顔で五十里の横にいる。

(まぁ、目には入っていない……少なくとも入っていないふりをされてるみたいですけども?)
 五十里はやんわりと微笑みつつも彼女が絡めた腕をそっと外す。

『今は大事な人と一緒なので遠慮させてもらいますよ』
 五十里にそう言われて彼女は莉桜に上から下までじろじろとわざとらしく目線を送ってきた。
『どこかの取引先のお子様のアテンド? 放っておいて、こっちに来たら?』
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