エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない

9.

 莉桜はにこにこと言葉が分からないふりをしつつもだんだん腹が立ってきていた。
 人の彼氏をなんだと思っているのだ。
 しかも、『タケル』? 莉桜だって呼んだことないのに親しげに名前を呼んだり、腕を絡めたりするのもとっても気に入らない!

『その子、お酒も飲めないんじゃない?』
 莉桜が手にしていたノンアルコールの飲み物を見て彼女は鼻で笑った。
 莉桜はにっこりと笑みを浮かべ彼女の前に真っすぐに立った。
『な、なに?』
 その迫力に一瞬圧されたようだ。

『お酒が飲める年齢には達していますけれど、明日、フライトがあるので今日は飲まないようにしているんです』
 一気に莉桜は英語で伝える。

 莉桜に英語が理解できるとは思っていなかったようで、彼女は目を見開いて驚いていた。五十里はくすっと笑って、莉桜の雄姿を見守ることにしたようだ。少し離れた場所で口元に笑みを浮かべて見ている。

『フライト?』
 不審げな彼女に莉桜は言葉を返す。
『客室乗務員なので』
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