綺麗な箱庭を作りましょう
厄介な世界に転生してしまったものだと思いながら、私は哺乳瓶のミルクを飲んだ。



美醜逆転世界に転生して早十六年。私は高校生になり、ワインレッドのおしゃれなブレザーを着て歩く。私の容姿は当然前の世界と変わらない。

「わっ、あの子めっちゃ可愛くない?」

「お前、ちょっと声かけて来いよ〜」

道を歩くとヒソヒソと話す声が聞こえてくる。チラリと見れば、太っていて顔はニキビまみれの男性二人がいた。この世界では彼らは相当なイケメンに分類される。

この世界では、美醜逆転になっているのは男性だけだった。女性の容姿の美しさの基準は前の世界と変わらない。なので、私はこの世界でも「美人」に分類される。……自分で美人というのは頭が痛い人かもしれないが、実際「綺麗綺麗」と周りから言われて育ったので、自分の容姿には自信を持ってしまっているのは事実だ。

しかし、この世界は元の世界より厄介なことがある。それが私は好きじゃない。それはーーー。

「おいブス!!そこ退けよ!!」
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