嘘も愛して


 ――――。


 序列審判戦が終わり、各々力の誇示を行い、万葉高校トップの皇帝流座に入るか、新しく自ら対抗するチームを作るか悩んでいた。


 新しくチームを作る場合、力のある者がリーダーを務めるのは定石。

 今一番勢いがあるのは断トツで、御織(みおり)空周(あしゅ)という男だった。



 そんな彼は今、私の目の前で足を組んでふんぞり返っていた。

 絶対的王を体現する彼は憎たらしいくらい何をしてもさまになるため、誰もつけ込むことができない。その傍らには忠実な番犬が。


 対面した私は緊張気味に席に座った。


 え、なになに、今から取り調べでもされるの私……。


 そう不安になるほど重圧を感じる空間に、

「おっじゃましまーす」


 ふわふわな声が割り込み、私ははっと我に返った。危うくのまれるところだった……。


「遅いですよ、モブキャラくん」

 王様が王様なら番犬もお口が悪い。研真は唇を尖らせ不満げに教室のドアをしめ、私の横の席に座った。


 私たちが改まって集まったのは、王様に提案した約束のためだった。



 この万葉高校のトップに君臨するチーム、皇帝流座。その筆頭となる男、司堂楽について、私が知っていることを話すと。

 私は順を追って説明を始めた。



「彼の組織はまず、彼の信頼のおける友人二人の三人がベースになってるの。始めはその三人だったけど、そこにどんどんメンバーが集まっていった。


 その多くの理由は、現状トップだから。彼がトップに君臨する限り、人は集まる。そのトップに上り詰めるまでに、私は加担してる。


 あの頃はおバカだったから、そりゃあもう頑張ったよ。裏でいろいろ根回しして、どうしたら彼がトップに立てるか考えて。で、トップになった彼にとって今の私は邪魔者ってことで捨てられましたって感じ。


 まぁ、あのクズ男にとって私は代わりのきく女だっただけ。現に今、彼の隣には別の女がいるの」


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