嘘も愛して
長々と語り、一息つく。
その間三人は口挟みを一切せず、静かに聞いてくれていた。
自語りをしてしまい、話しすぎたかなと、不安になったその時。
「ねぇ、その女つぶしに行ってい?」
物騒なことを言い出され私は慌てふためく。
「待って待って、なんでそうなるの。そんなやり方で勝ちに行くなんて絶対嫌」
「あははぁ、冗談だよぉ」
冗談に聞こえないよ……。目が笑ってないよ、研真。
「もぉ……。いい?トップに君臨してるクソ男を完全に喧嘩でも周りの人気でも打ち勝てば、奪える。
信用のなくなった強くもないリーダーに誰がついて行くと思う?残っても最初の友人二人。
三人の時に戻っちゃえば私たちの勝ちってこと」
私の言い分はここまで。それはここにいる皆全員受け取ってくれたみたい。
「あー、僕血が騒いできちゃったよ。早く殺りたいなぁ」
研真はそればかり。
「ふぅーん、女関係はクズっぽいですね」
王様の犬さんは主人に似た悪い笑みをしている。
「やっぱ喧嘩強くないんだぁ」
「私は勝てるよ。強いのは周りの連中。あの人が表に出ることってあまりないから。何より、中身は激弱だからね」
ふんっと鼻を鳴らしみる。ずっと誰にも言えなかった愚痴を漸く言えて、なんだか気分がいい。
「はっ、外からじわじわいたぶってやろうってか」
「そこまで言ってないけど…」
ぴくり。空周の眉がひりつく。
「は?ぬるいんだよ、やっぱり今全部話せよ」
私の受け答えが気に食わなかったからって強引な。そこまで気になることなのかな。
「…嘘は嫌い。私は、あの男に嘘をつかれた。1番、信用していた人に。正直人を信じるのが怖い。だからみんなとも手は組むけど、チームには入れない。ごめんなさい。みんなを信じれないのは、私自身の問題だから、その…」
「それでいい」