嘘も愛して
「え…」
「簡単に信用すんな、俺の生き様を傍で見てろ」
本当に、真っ直ぐな人。寸分違わず私を認め、光をくれる。
「僕も!行動で伝えるよ!」
研真……。目に見えるほど伝わってくる思いに、私は気づかないふりをしていた。だけど、それじゃだめなんだ。何も変わらない。
「……私も、私も頑張る」
意を決して私は決意を口にした。けれど、半秒しないうちにパンパンっと手を叩く乾いた音が響いた。いるみさんだ。
「はいはい、じゃあここまでで今、この高校の勢力図をまとめていきましょうか」
現・万葉高校トップチーム、皇帝流座。筆頭、司堂楽。傘下、宇須、花矢倉、城野兄弟蘭・世成、音海他。
私たち、空周、いるみ、仁彩、研真の四人。
「空周を筆頭に僕たちは新チームを作り、皇帝流座を乗っ取りましょう」
王様の家来が勢力図を整理し、新しい提案を上げた。
決定事項のように、リーダーは王様らしい。勝手にチームの一員にされているし。
「待って、私はくだるとは言ってないよ」
「俺たちは協力関係だろ?」
それはそうだけど……。煮え切らない私に、空周はもう一押し声をかける。
「クソザコ共を潰すぞ」
自分に迷いがないのはもちろん、周りを巻き込んで有無を言わせないその力強さは、ずるい。
その船に乗ってどこまで行けるか試したくなる、そんな原動力を掻き立てられる。
私は苦く笑った後、吹っ切れたように不敵な笑みに移り変わり、
「よろしくね」
パシッと固く手を結び、私たちは手を組むことを明らかにした。私の、復讐の始まり。