嘘も愛して
第4話 王子と姫
正式な協定が結ばれ、チームとして成り立った数日後。
頬杖をついて足を組んだ姿勢で空を仰ぐ赤メッシュ。
その傍らで扇子を扇ぐ赤茶色髪の少年は、主人に仕えるように扇子を向ける。
「これからどう動きます?空周」
朗らかで透き通った目つきで彼を見つめる少年。その主人はふっと鼻で笑う。
「俺たちが動く必要はない。向こうからくるだろ、俺の飼い猫にちょっかい出しによ」
放課後。密かに新しいチームができつつある中、私は図らずともそのメンバーになっていた。
考え込むように自分の机に突っ伏していた私に、誰かの声がかかる。
「おーいそこの女」
顔を上げると、扉付近で五人の男達がこちらを伺っていた。
どれも知らない顔だ。一年生かな。
知らない人に話しかけられるのはカロリーが高く、私は感情が顔に出ることなど気にならないほど嫌な顔をした。
「保泉仁彩だろ?ちょっと面かせよ」
またクソ男の差し金か。ということは皇帝流座の新しいメンバーかな。
どんどん勢力をつけて末端の下っ端に私の相手をさせるってわけね。そんな労力割かないでもらいたいけど、ただの余興なんだろうな。
「いいよ」
なんだか腹の虫が煮えたぎってきた私は、その安い誘いに乗った。
男五人の後ろをついて行き、裏庭に出てきた私たちは五対一の図で対峙した。