嘘も愛して



「あ?話そらすな、ちび野良猫」

「の、野良猫?!」

「シャーシャーうるせぇ……俺の役に立て」


 なんて傲慢な人……。

 私は半ば呆れ、より一層話す気をなくし、キッと彼を睨みつけた。が、彼は真っ直ぐその視線に応え、交わってきた。そして、ぐいっと顔を近づけ言い放つ。



「俺に嘘も誤魔化しもできると思うなよ」

「!!」


 ドクンッ――

 一瞬にして、心臓を掴まれた。と、錯覚するほど全身に衝撃が駆け巡った。



 嘘――

 その言葉が今の私には有り得ないくらい突き刺さる。
 ひどく動揺した私は、至近距離で見つめ続ける瞳に耐えきれず、目を泳がせてしまった。



「目ぇそらすなよ、逃げるな。ほら、答えろ」


「っ――」


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