嘘も愛して
第6話 皇帝の女
すっかり暑苦しさが日常となったのと同時に、皇帝流座に対抗するべく新しく立ち上げられたチーム、〝新世代〟の存在は大きくなり始めていた。
夏休み前の照り着く太陽の下、私は研真と一緒に中庭で新世代のメンバーが集まるのを待っていた。
研真とたわいない話をしていると、カチャ……っと、中庭と校舎を繋ぐドアが開いた。
やっと来たか、と仲間を迎え入れる笑みをドアの方に向けた。が、そこに立っていたのは、思った人ではなく。私はその姿を認めた瞬間、殺意すら覚えた。
「ねぇ」
その人はぶっきらぼうに私たちに声をかける。
「誰?」
研真が知る由もない。だけど、私は知っていた。つり目のうるうるした瞳、茶色いショートカットが良く似合う少女。じっとりした目つきがデフォルトの彼女は、現皇帝流座のリーダー、司堂楽の女、菊池美紗だ。
見るだけで心が沈む。吐き気をもよおした私は、彼女から目を逸らし無視を決め込んだ。が、少女は構わず私たちと距離を詰め、仁王立ちで腕組みをする。
「楽くんに近づかないでくれる?」