嘘も愛して



 絡めとるように縛りついて離さない艶めいた目つき。とは裏腹に意地の悪い笑みを称える口元。

 とって食われるのはお前だと分からせるつもりなのか、嫌に優劣を感じる。


 好戦的な目付きから、宿敵を目の前にした眼差しに変わる。

 ばちばちと火花が散りそうな視線の交わり。そんな中、思わぬ展開に乱れずにはいられなかった従順な犬が慌てふためく。


「あああ空周!?」

 いるみさんだけじゃない、声にしないだけで面を食らったメンバーが空周の様子を伺っている。

 王様は、真昼間だというのに、夜を感じさせる帝王感を出し、一同に告げる。


「お前ら、楽しもうぜ」

 その意味を瞬時に理解した。一気に私と空周だけの世界をぶち破り、本題に戻ったのだ。


 私と現皇帝流座のリーダーとの因縁を知り、団結した新世代。

 各々がやる気をみせ、やり合うことを決心した。

 だけど、本質的には楽しもうと。彼は伝えたかったんだ。すごいよ、さすが王様。ついて行きたくなる、先導者。

 「ボス!」「王子!」「あいあいさー」「はい、空周!」この声が、君の存在を高貴なものとする証。


 王様は満足そうに笑い、私の手を取った。

 え?


「じゃ、こいつ締めてくる」

 えーーーっと?


 あっけらかんとしたのも束の間、私は力強く腕を引かれ、屋上を後にした。メンバーの多種多様な表情に見送られながら。



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