幽霊鬼ごっこ
事故の詳細
「ところで、どうしてそんなに『幽霊鬼ごっこ』に関心を持っているの?」
自転車で移動しながら私は榎本さんに質問した。

「だって、今まさにあなたたちが巻き込まれてるんでしょう?」
そう聞かれてすぐには返事ができなかった。
どうして知っているのか、驚きで言葉が続かない。

「そんなに驚くことじゃないよ。普段図書室で見たことのない子が、いきなり私に話かけてきたんだもん。それで『幽霊鬼ごっこ』のことを聞いてきたんだから、なにかあったのかなって思うじゃん」

「そっか。うん、榎本さんの考える通りだよ。私たち、幽霊鬼ごっこに巻き込まれてるの。だけど、詳しく説明はできない。説明しようとしたら喉から言葉が出なくなるんだよね」

図書室で榎本さんに鬼について説明しようとしたときのことを思い出す。

あの時、喉の奥にある言葉が誰かの手によって押し込められてしまったような、そんな感覚があった。

「それじゃ、誰にも相談できてないの?」
「うん……。どうにか調べてはいるんだけどね」

驚いている榎本さんにそう答えた。
榎本さんは関心したように頷いている。
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