ハイスペ上司の好きなひと
「飛鳥くん!帰ってきたんだね!」
「ずっと待ってたよ〜!おかえりなさい!」
そのほとんどが女性社員で恐ろしくなって身を引いた。
これはもしや、不可抗力とはいえ仕事で組む事の多い自分に嫉妬の目が向けられるのではと早速背筋が冷えた。
あっという間に全方位を囲まれた飛鳥を見て今だと思い、その輪からサッと抜けて自分のデスクに席を下す。
深いため息をつきながらPCを立ち上げ、社内システムにログインして朝イチのメールのチェックを進めた。
その中には飛鳥の正式な辞令があり、いよいよ現実味が増してきた。
ーー藤宮さん、私はやっていけるのでしょうか…
尊敬する先輩に想いを馳せながら、紫は再び大きなため息を吐いた。