ハイスペ上司の好きなひと
ルームシェア
飛鳥は確かに優秀だった。
藤宮から引き継いだ仕事を初日だというのに難なくこなし、指示も的確だった。
「古賀さんは昨年までワーホリでフランスにいたんだってな」
今後の業務内容の打ち合わせの際、世間話の一環でそう尋ねられた。
「はい。そのおかげでこの会社に入れました」
「あっちでは何を?」
「主に製菓店での販売スタッフをしてました。その際に発注や納品の作業も少しだけ触らせてもらったりも」
「ならそれ系の業務は任せて大丈夫だな」
はい、と紫は頷く。
「そちらに関しては全て引き継ぎを済ませています」
「助かる。あとはそうだな…仏語の新聞は読めるか?」
「話すより読む方が得意なので可能かと」
「ならあっちの情勢把握も問題ないな。市場調査に関しては支社のスタッフと細かにやり取りをしてくれ。それと…」
次々と必要事項を確認していく姿には一切の無駄が無い。
最初はドギマギしてどうなるかと思ったがここまで割り切られると逆にやり易くなり、こちらもきちんと仕事として接することが出来そうだとホッとした。