ハイスペ上司の好きなひと
出来るだけ早く新居は見つけますと付け加えてお願いした。
すると間も無くして肩に手を乗せられ、紫はゆっくりと頭を上げた。
「こっちが言い出したことなんだからそんなに畏まらないでくれ」
「…すみません。ありがとうございます」
こうして予想外の出来事から、ルームシェアの契約が成立した。
そしてその後早速、昨日の今日で家に戻るのも不安だろうと家の場所や諸々の説明も兼ねて飛鳥の住む自宅へお邪魔させてもらうことになった。
あまりの展開の速さに頭が追いつかないが、そのおかげで混乱はあれど緊張は無かった。
飛鳥の自宅は会社から電車で乗り換え無しで30分ほどの距離にあるマンションだった。
詳しく聞けば飛鳥の姉の旦那は幾つか不動産を所持しているらしく、長らく日本から離れて帰国が決まった際に住む場所をどうしようかと頭を悩ませていたところ、姉に丁度物件に空きがあるからそこに住めと打診され、忙しさも相まって適当に決めたらしい。