ハイスペ上司の好きなひと
帰宅の道中話した事だが、やはり何かが起こってからでは遅いので基本的にはこちらに住まわせてもらい、定期的に自宅へ様子を見に帰るという事で決まった。
簡単に家の中を説明してもらい、お互いの部屋の出入り以外は基本自由と約束した。
食費を紫が持つ代わりに家賃と日用品、水道光熱費は飛鳥が請け負ってくれる事にもなった。
掃除は当番制で、洗濯は1回おきに互いに自分のものを回す。
そんな話し合いのなかで気付いたが、意外と飛鳥はその辺りを決め事に対してふわっとしており、逆に紫が一線を引いて諸々を進言する事になった。
その後一度会社に戻ると言った飛鳥を見送り、紫はこちらに来る前に一度自宅に寄ってもらった際に集めた必需品を自室で整理する事にした。
部屋の静けさには感動しか無かった。
ボロアパートでは相手の音が聞こえるという事はこちらの音も聞こえるのだと思い、息を潜めて生活してきたし、いつ怒鳴り声が響いてくるかにもビクビクしていた。
そのせいだろうか、他人の家だというのに紫は運んできた敷布団を敷くや否やそこに倒れ込み死んだように眠ってしまった。