ハイスペ上司の好きなひと
詮索
1週間もすれば大体のルーティンが決まり生活が落ち着いてきた。
飛鳥の生活は朝は紫より少しだけ早く出て、帰宅は大体20時から21時。
それに対して紫はそれより少し出勤時間が短い程度だ。
約束通り食事の支度は紫が担い、キッチンを借りて料理を作り時間が合えば共にテーブルを囲むくらいでそれ以外は各々自室で過ごすような生活が出来上がっていた。
そうしてきちんと睡眠が取れる事によって仕事のパフォーマンスも無事に戻り体力も気力も活気を取り戻した週末、復習のために自室でフランス語のテキストを開いて読み込んでいた紫はドア越しに飛鳥から声をかけられた。
「古賀、今いいか」
「あ、はい!」
テキストを置いて立ち上がりドアを引けば、今日も今日とて美しい顔立ちの飛鳥に目が眩みそうになった。
「少しお願いしたいことがあったんだが、邪魔したか?」
「語学の勉強をしていただけなので大丈夫です」
「仕事関係のか」
「はい。一般的な会話はともかくビジネス用語はまだまだ不安が多くて…」