ハイスペ上司の好きなひと
会議で時折分からない単語を聞いては慌てて辞書を引くなんてこともあり時間をロスをする事が多いので、時間の余裕がある時に叩き込んでおきたかった。
それを伝えると飛鳥は偉いなと言って笑って見せた。
「頑張れよ。困った時には俺も頼れ」
「ありがとうございます。えっと、それで私にお願いとは何でしょう?」
軽く首を傾げれば、飛鳥が改まって声を発した。
「家具を選ぶの付き合ってくれないか」
「…私が、ですか?」
一瞬戸惑ってそう返せば、飛鳥はこくりと頷く。
「そろそろ買いに行かないととは思ってたんだ。で、せっかくなら古賀の意見も聞いた方が良いと思ってな」
「いえでも…私なんてただの居候ですし」
「ルームシェア、だろ。それに期間限定といえど一緒に使う事になるんだし、君の意見も尊重したい」
「……」
他でもない上司の頼みだ。
それに家主は飛鳥なのだから内装をどうしようが口を出す義理はないし、何よりこうして気遣ってくれているのに頑なに無碍にするのもどうかと思い、紫は少し悩んで分かりましたと返事をした。