ハイスペ上司の好きなひと
その後は話題を変え真由菜が婚活で出会ったという男性達の面白い話や彼女の上司の愚痴を聞き、きっかり2時間喋り倒して解散となった。
帰宅時に本屋とスーパーに寄り、買ってきた食材で簡単な丼ものを作ってほどほどに胃を満たして入浴を済ませ、時間を見たところで20時を回っていた。
寝るにもまだ早いが今飛鳥と顔を合わせるのは非常に気まずいのでさっさと自室に篭ってしまおう。
そう思って日課となったフィカスの手入れを簡単にして消灯をし、自室へ入り折りたたみテーブルを広げて本屋で買った簿記のテキストを読み込んでいると、玄関のドアの開く音がした。
帰ってきたのかと思った束の間、ドスン!と人の倒れる音がして反射的に部屋を飛び出した。
廊下の電気をつけるとやはり玄関先で飛鳥が倒れており、サーッと血の気が引くのを感じながら駆け寄った。
「飛鳥さん!どうされたんですか!?」
「……」
返事は無い。顔色も特に青いわけではなくいつも通りだ。
また息が荒い訳でも苦しそうな顔でも無いが、ただ強い酒の香りが嗅覚を刺激した。