ハイスペ上司の好きなひと



「気が強いのは多分、兄達の影響です。年が近かったからか結構ぞんざいな扱いされてて、常に負けるもんか!って思いながら育ってきたので」


少女漫画でよくあるような兄達に溺愛されながらお姫様のように育つなんて事はなく、年子で2人の兄が居る紫はそれなりに酷い扱いを受けながら成長した。

物を取られるなんて日常茶飯事、喧嘩の時は普通に手が出るし思春期の頃なんかは顔を合わす度に「近づくなクソブス」と言われてきた。

親も注意はするものの末娘だからといって分かりやすく庇い立てする事も無かったので、紫は自分の身は自分で守るしか平和的に暮らす方法が無く、出来上がったのがこの性格である。

だからこそ余計に、天然の片鱗を見せる飛鳥が可愛らしく、魅力的に思えて仕方ないのだ。


「なら俺とは反対だな」
「反対、ですか?」
「俺は年の離れた姉が2人で、しかも双子だ。やたらと着せ替え人形にされたりおもちゃにされた記憶しかねえ」
「へえ…!」



< 72 / 223 >

この作品をシェア

pagetop