ハイスペ上司の好きなひと
双子のお姉様方に遊ばれて虚無顔になってる飛鳥は純粋に見てみたい。
それに粗暴な兄しか居なかった紫にとっては"姉"という単語だけで興味しか湧かない。
何より、普通だったら知る事のない飛鳥の個人的な話を聞けるのはそれだけで心が躍った。
そんな気持ちが顔に出ていたのだろう、飛鳥がこちらをみながら「良かった」と声を漏らした。
「え?」
「ちゃんと笑えるくらい、此処が君にとって安心できる場所になって良かった」
「…!」
一気に顔に熱が集中し、勢いよく顔を逸らした。
なんでそんな、勘違いしてしまいそうな言葉を平気で言うんだ。
ーー他に好きな人がいるくせに。
こちらの事なんてなんとも思ってないくせに。
そんな嬉しさと同じくらいズキズキと痛む胸をひた隠しにしながら、ゆっくりと夜は更けていった。