ハイスペ上司の好きなひと



「コウキ〜!Bienvenue!」


聞き慣れない名前に一瞬誰のことかと思ったが、それが飛鳥の下の名前だということはすぐに気づいた。


「ラファエル、彼女がびっくりしてる」
「ああごめんよ!おお!可愛らしいお嬢さんだ。コウキのガールフレンドかい?」
「分かってて聞くのはやめてくれ」
「はは!ごめんね」


ラファエルと呼ばれた彼がどうやらこの支社の責任者らしく、人の良い笑顔を見せる30代後半程の男性だった。


「古賀紫です。1週間よろしくお願いします」
「ユカリか、綺麗な名前だ」


そう言って軽い握手を交わすと、ラファエルは再び飛鳥に向き直り、言語をフランス語に変えて話しだした。


「帰国早々無理言って悪いね。本社の方は大丈夫か?」
「課長がなんとかすると言ってたから大丈夫だろう」
「なら良かった。あ!そういえば先日、ヒジリからクリスマスカードが届いたよ。彼女は元気してるかい?」


ヒジリという名前には聞き覚えがあったが、誰だっただろうと頭の中で検索ボタンを押す。

そして少ししてそれが藤宮の下の名前だった事を思い出した。

飛鳥も誰のことかはすぐに分かったのだろう、笑顔を作って答えていた。


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