ハイスペ上司の好きなひと
そしてのっそりと現れた飛鳥の顔色の悪さを見るや否や、驚きで息を呑んだのは言うまでもない。
「飛鳥さん…!?酷い顔色ですよ」
言葉通り飛鳥の顔は赤いんだか青いんだかよく分からない色をしており、足元もおぼつかない様子だった。
「…ん、ああ…すげえ怠い」
ほぼ間違い無く熱があるだろうと体温計を渡し、その間に喉も痛むと言うのでひとまず白湯にはちみつを溶かしたものを用意した。
カップを手渡すと同時に体温計が電子音を発し、表示された体温は39度を超えていた。
まず目にする事のない数字に一瞬パニックになりかかけたが、一度大きく息を吸ってひとまず横になってもらわねばと部屋に戻らせた。
冷えピタなるものは無いので保冷剤を幾つかタオルで包み氷枕代わりにして頭の下に敷いてもらい、常温の水をベッド横の椅子に置く。
「何度も勝手に入ってすみません。今日は休日で病院も開いてませんし、微力ながら私がお手伝いしますのでなんでもおっしゃってください」
「いや…古賀にうつるから」
「だからって放っておくなんてできません。ですから、ほら」
言われるだろうと思って既に薄手のゴム手袋とマスクも装着済みだ。