とある男アイドルの活動日記
中に入ると、ウッド調のテーブルとソファがあって。

「飲み物は……紅茶、コーヒー……ジュースはオレンジかりんごがあるよ。どれにする?」

お言葉に甘えて、オレンジジュースを選択。

俺の目の前にオレンジジュースの入ったグラスを置いて、目の前に座ったスカウトの人。

「それで……早速本題に入らせてもらうんだけど、君、顔出しはNGなんだよね?」

こくりと頷いたら。

「ウチではグループかソロを選べるんだけど、どちらがいいかな」

「メリットとデメリットをそれぞれ教えてもらえませんか」

「もちろん。ソロは、まずデメリットとして、売れるまでに時間がかかる。1人だから、武器を磨かないといけないし、客集めも大変だ。だけど、1人な分自由が多い。喧嘩などのトラブルはほとんどない。寧ろ全くないと言っても過言じゃないよ。反対に、グループはさっき言った通り、メンバー同士の意見の相違と喧嘩、合わないメンバーがいても表では愛想を振りまいて仲良くしなければいけない。お金はメンバーと山分け。その代わり、メンバーがいると楽しいし、知名度も上がりやすい。……って感じかな」

さすがにわかりやすくて、納得できた。

まぁ、悩むまでもなかったから即答。

「ソロでお願いします」

グループなんてめんどくさいことは俺には向かない。

自分のことは自分が1番わかってるし。

「ソロだね……了解。契約書は後で自宅に送らせてもらうから、家でしっかり読んで書いてきてね。じゃあ、今日から改めてよろしく」

手を差し出されて、恐る恐るその手を握る。

「よ、よろしくお願いします……」
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