恋するマリネ
そう言ってアタシは渋々…高瀬さん家の庭を通り抜け家に帰った。
まだ幼かった…あの頃のように…。
家に帰るとソッコー二階の部屋に上がり、カーテンを開けてみた。
すると本当に向かいの部屋にケンシローはいた。
二人…手を伸ばせば届く程の…すぐそこの距離にあなたはいた。
そして窓越しに携番を交換し、愛しの先生の言い付け通り、先生に習った三角比の復習をした。
…復習も終わり、お風呂から上がり髪を乾かしながらカーテンを開けて見ると、ケンシローは窓辺に座りギターを弾いていた。
ーーギターも弾けるんだ…
その日の夜は深夜遅くまで窓越しに色んな話をした。
ケンシローから聞いた話では…
ーーケンシローも初恋で…
ーーアタシが最初の彼女らしくて…
ーー好きな歌手は父親の影響で、安室奈美恵…で…
ーー好きなお笑いはダウンタウンで…アメリカでもDXはDVDで見ていたらしい。
そして深夜3時過ぎにお母さんに叱られ…寝た。
寝ながらも…頭の中は三角比とケンシローでいっぱいだった。