恋するマリネ
ーー12月1日…
今日は塾があったのに…休んだ。
連絡もせずに…。
お母さんが心配して…風邪をひいたという嘘までついて…。
ケンシローに逢う勇気が出なかった。
案の定…ケンシローからは何度もメールが来ていた。
でも…見る勇気もなかった。
ーーごめん…こんなに面倒臭い女で…。
薬指の指輪を触りながら…あの日、大楠の木の下で撮った写メを見ていた。
部屋の電気は消したまま…。
アタシの後ろからはケンシローの部屋の灯りが差し込んで来ていた。