恋するマリネ
さよなら
次の日の朝…あの日と同じようにアタシとケンシローは、駅のミスドの前で待ち合わせした。
ミスドの前でケンシローはあの…アタシが気に入っていた…あのスーツを着て…タバコをふかしていた。
「おはよ。…ケンシロー…それ。」
「それって」
「スーツ…。」
「あ…これか…なかなか似合っとるやろイイ男は何着ても似合うけどな。」
「うん。」
アタシが見とれていると、ケンシローが紙袋を差し出した。
「何」
「クリスマスやろ。1日遅れやけどな。」
夕べからずっと続いていた緊張も少し消え、紙袋を開けようとしていたら
「トイレで着替えてこいや。待っとるから。」
「えっ」
アタシが中を覗くと、それは真っ赤のニットのワンピースだった。
アタシは嬉しくて…「うん」と返事して…あの日と同じトイレに駆け込み…着替えた。