恋するマリネ


ーーあ〜あ…。





何回溜息ついただろう。





気がつけば辺りはうっすら暗くなっていた。





10月も半ばになり、季節は完全に夏から秋へと移り変わり、街の色も鮮やかな青から落ちついた茶色に衣がえして…。





ーーもう秋か…。





ーー運動の秋。食欲の秋。読書の秋。




ーーアタシにとっては…勉強の秋それとも…失恋の秋





そんな感傷に浸っているとアタシの前に人影。





視線を上げると…それは巧だった。





「よお…何してんだこんなとこで。」



「ん…タクには解らない悩み。」



「8点のことか」



「なんで知ってんのよあっ光司」



とアタシがキレかけると巧はいつもの優しい目と声で




「ワリイ。やっぱ…そのことで落ち込んでんだ。」



「そっ」



「だから…アンタには解らない…馬鹿だけの悩みなの。」



「まあな…解んねえけど…教えてやることならできるけど」




とまた優しい言葉をかける。こんな優しいとこが世の中の女子高生に人気の理由なんだと思った。






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